2年間の総括────S高転入から早稲田合格まで

この記事は、僕がS高等学校で過ごした2年間について、大学受験に焦点を当てて総括することを目的としています。簡単に自己紹介すると、

  • 中高一貫校(高校偏差値70)の中学に入学後、昼夜逆転が続き落ちこぼれ
  • 高2に上がるタイミングでS高等学校に転入学
  • 塾・予備校を転々とし、最終的に東進で受験勉強
  • 地理学科がある東京の私大から受験校を選び、全て合格(早稲田、明治、法政、日大、駒澤、専修)

大学受験に絞っていえばこんな感じです。

もくじ

受験の大まかな流れ

受験に使用した科目

  • 英語リーディング
  • 英語リスニング
  • 国語(現代文・古文・漢文)
  • 地理B

僕は高2の4月の時点で英語の基礎がある程度固まっていたため、英語の勉強はあまり要りませんでした。*1

僕はStudyplusで学習時間を記録していたのですが、高2の4月から入試本番までの学習時間は1,503時間でした。僕と同じ条件(高2の4月から通信制)の人は、早慶下位学部・GMARCH合格レベルに到達するには単純計算で2,250時間以上の学習が求められると思います。

Studyplusに残っている月ごとの学習記録です。1月は出願などに時間を取られてしまうので、10月~12月にどれだけ仕上げられるかが勝負だと思います。

地理B選択について

僕は地理B選択で私文受験をしましたが、基本的に地理B選択はおすすめしません。理由は3つあります。

  1. 選択者があまりに少ないため、指導者や参考書・問題集が他科目に比べて少なく、学習上の不利益を被りやすい*2
  2. 大学入学共通テストの地理Bは得点の振れ幅が大きく、共通テスト利用でいわゆる「安全校」を確実に抑えたい人には向かない
  3. 私大入試の地理は大学によって出題傾向が大きく違い、併願校対策が負担になる

まず1つ目の理由について、これは本屋の参考書コーナーに行けば一目瞭然だと思いますが、地理Bは他の私文選択科目(世界史B・日本史B・政治経済)に比べて参考書・問題集が圧倒的に少ないです(高校地学ほど酷くはないですが)。独学の自由度が狭まりますし、そもそも選択者が少ないため、クラスメイトと選択科目を教え合うといったこともしづらいです。東進の講座に準ずるような、相当に充実した地理Bの学習環境がない限り、他の科目を選択することをおすすめします。

2つ目の理由ですが、これは共通テスト型の演習を一度でもしたことのある方は実感されていることかと思います。共通テストは私大入試に比べて設問数が少ないので1問あたりの配点が高く、特に国語などでは1問分の失点が大きく響きます。加えて、共通テストの地理Bは図表・グラフを与えて思考力を試すタイプの問題が多く、暗記が正答に直結する問題はほとんどありません。国公立理系の受験生には、共テの地歴科目で得点を安定させるためにあえて世界史B・日本史Bを選択される方もいるそうですが、共テの地理Bはとにかく頭脳・発想勝負で、得点を8割5分以上で安定させるのは至難の業だと思います。僕は84点でした。高得点勝負の私文3科目共テ利用では、下振れを引くと致命傷になりかねません。

3つ目は具体例を示すのが一番わかりやすいと思うので、僕が対策していた早稲田大学教育学部明治大学文学部の地理を例に挙げて説明します。

早稲田大学教育学部の地理は例年、世界地誌を中心に出題しており、世界史と絡めた問題も散見されるなど、暗記寄りの勉強を求めてきているうえに、問題のリード文の国・地域名がすべて伏せられており、自力で推理をしながら解き進める必要があります。そのため、普段から地図帳を眺めて国同士の位置関係や重要な経緯線の位置を覚えておかねばなりません。*3精度の高いメンタルマップを構築した状態で入試当日を迎えるのが望ましいです。過去問を見ると、非常にハイレベルな年もあれば(太平洋の島嶼国やカリブ海地域について問う出題)、拍子抜けするほど簡単な年もあります。僕が受けた2023年度は例年に比べて簡単でした。*4ハイリスク・ローリターン(難化に備えて知識を詰め込んできても易化したら無駄になってしまう)という意味でも取り組みづらい出題傾向です。選択科目にかまけて英語や国語をおろそかにしてしまうと合格点は取れないでしょうから。

明治大学文学部の地理は、毎年必ず出題される地形図読図の大問と、制限時間に対して多すぎる問題量が特徴です。地形図読図はある程度の訓練が必要で、僕は東進の講座で済ませてしまいましたが、自力でやるのは難しいと思います。地形図問題にもある程度の暗記事項があるので*5、それらを取りこぼさないよう確実に抑えたうえで、地形図読図の練習を積む必要があります。演習問題として使うために、明治大学文学部以外の地形図問題を見てみましたが、立教大学(だったかな?)は5万分の1地形図しか出さないですし、法政大学は出す年と出さない年があります。結局僕は明治大学文学部の過去問を入手できるだけ入手して、地形図読図の大問だけ10年分以上解くことで対応しました。近畿大学が癖のない共テに似た問題を作っているので、他大学の地形図問題を解くならそれをおすすめします。

また、試験時間60分に対して問題量が多すぎます。全てマーク解答ならいいのですが、明治大学文学部は全ての大問で語句記述と2、3行程度の論述があります。入試地理の地形図読図は、解答への手がかりを探して地形図とにらめっこする作業なので、とにかく時間を食います。僕は過去問を10年分解きましたが、時間内に解き切ることは一度もできませんでした。直前期には、地形図読図の大問を最後に解くという形で逃げ腰の対応をしました。共テ利用・全学部統一で合格を頂けたので受けずに済みましたが、もし受けていたら得点率は良くて75%だったろうと思います。出題分野は系統地理・自然地理が多く、早稲田大学教育学部の対策がほとんど流用できません。

大受験の戦略として、出題傾向の似ている大学(または同じ大学の複数学部)を受験するというのがありますが、地理選択の場合はそもそも地理で受験できる大学・学部が少ないため、併願校同士の出題傾向の親和性は皆無です。これを楽しむことのできるマゾヒストでない限り、地理選択での私大受験はおすすめできません

ちなみに、私大地理の統計や地形図の読み取り問題は、ある程度パターンが決まっているところもあるので、共通テストほど身構える必要はないと思います。例えば、統計問題の場合、

  • シンガポールの都市人口率は100%になること
  • インドやイスラエルではダイヤモンド加工が行われていること
  • 羊の飼育頭数はヨーロッパではイギリスが多いこと、豚はドイツが多いこと
  • 農業生産統計にブドウやオレンジ、オリーブ、コルクガシなどの品目が含まれていたらCs気候の国・地域であること

というふうに、半ば約束事のように論点が決まっているので、0から解答根拠を探し出さねばならないほどタフなものではないと思います。地形図読図についても、

  • 地形を問うものなら 氾濫原に含まれる自然堤防・後背湿地・旧河道(三日月湖)や扇状地・三角州*6
  • 集落の立地形態を問うものなら 集村*7・散村*8
  • 新旧地形図の比較(土地利用の変化)では 桑畑から果樹園への移行・河川の流路改変・農地の区画整理・台地の開発・埋立地の拡大

など、論点があらかじめ決まっているはずです。そういう意味で、私大地理は、対策を徹底しさえすれば少ない暗記量で他科目の足を引っ張らない程度の得点を安定して取ることができる、コストパフォーマンスの良い科目と言えるのではないかと思います。

十分な学習環境が確保できるなら、私大地理は、地理が好きな人(前述の「マゾヒスト」)にはおすすめしたいです。*9

通った塾・予備校(&志望校の変遷)

N/S高オンラインコーチング(東京都立大学筑波大学東京大学

N/S高が設置しているサービスで、週1回の大学生スタッフとの面談と、月1回のオンラインコーチングスタッフとの面談がありました。河合塾を辞めてトライ式高等学院に入るまで、河合塾と併用していました。

自分である程度計画を立ててその通りに学習を進められている人が、学習計画についてアドバイスを得たり、手元の学習内容のわからない所を質問したりするのに有用だと思います。オンラインコーチングの説明会では「伴走」という表現が使われていました。僕のニーズには合っていなかったので、高2の11月頃に辞めました。

河合塾東京都立大学筑波大学東京大学

高2の7月頃、毎日通える場所を確保するため、自習室が充実している印象がある河合塾に入塾しました。最初は某現役館に所属し、夏頃に新宿校へ移籍しました。英語の講座は最終的にONE WEXになりましたが、年度の途中から入ったうえに講座を取っかえ引っかえしたため、学習効果は得られていませんでした。

S高転入後、当初は参考書で範囲学習をやろうとしていましたが*10、以下に挙げる6科目

  • 数学ⅠAⅡB
  • 国語(現代文・古文・漢文)
  • 世界史B
  • 生物基礎
  • 地学基礎
  • 倫理、政治・経済

の全てが初学だったため、独学は困難を極め、学習計画を立てては破綻させるのを繰り返して、実質的な学習進捗は0のまま半年以上を過ごすことになりました。本当に時間の無駄だったと思います。通信制でこれから参考書学習をする人は、3週間ぐらいやってみて躓いたら、東進に入るかスタディサプリを利用するかしましょう。時間がもったいないです。河合塾は11月頃に辞めました。

トライ式高等学院東京大学早稲田大学

進学を目指す通信制高校の生徒向けのサポート校*11を探すとここに行き当たります。僕には向いていませんでした。というのも、トライ式高等学院に入塾したのは高2の11月頃で、この時点で僕は国公立受験に必要な5教科7科目の範囲学習を前述の通りほとんどできておらず、学習進度において大きく後れを取っていたのです。週1回の対面指導では間に合わないことは自明でした。

年明けの頃、講師の方に東大志望を辞めるよう諭されました。志望校を私立文系に変える際、ちょうどその時期に見ていたTVアニメ『恋する小惑星』の影響で地学がやりたくなっていたので、自然地理学という地球科学と被る学問分野が学べる地理学科を志望校に据えました。早稲田志望にすると言ったのですが、講師は東大と同じで目標が高すぎると言い、明治志望を勧めてきました。これには納得できませんでした。

GMARCHに受かりたければ早慶を目指せ」というのはよく言われていることではありますが、この時の僕も、最初から明治大学を第一志望にしていたら届くものも届かない(学習目標が100%完璧に達成されるなどありえない)という懸念を持っていました。

周りの生徒のレベルの低さに嫌気が差していたのもあり*12トライ式高等学院を辞めて、他の予備校に入ることを決めました。

以下で詳述する東進ハイスクールに入塾することになったのですが、その前に父と相談し、四谷学院と比較検討するよう言われました。僕は私文受験にあたって地理Bを選択したので*13、地理Bの講座が設置されていなかった四谷学院は自動的に候補から外れ、東進に入ることになりました。

東進ハイスクール早稲田大学

高2の冬(2月下旬)に入塾しました。ここで国語と地理Bの範囲学習を急ピッチで進めていくことになります。

東進の映像授業は、いつ、どこでも、自分のペースで最高品質の授業が聴けるのが特徴です。授業後に疑問点を講師に直接訊くことは(東大特進等を除いて)できませんが、理解力・吸収力のある人にとっては非常に効率的な学習ツールです。

一部の衛星予備校などでは講座の押し売りが行われているといった悪評もありますが、僕の所属した校舎は本部直轄の「東進ハイスクール○○校」で、校舎長は特に押し売りをするようなこともなく*14、たまに行われるHRでは出願校の選び方や共テ利用の使い方など戦略面でのアドバイスをしてくださり、大学進学というものに対して熱意を持っていらっしゃるという印象を受けました。大学生スタッフには東京一工・早慶GMARCHの学生もいて*15、週1回の「グループミーティング」では、東進の授業の受け方や過去問演習の進め方について実用的なアドバイスを頂けましたし、受験の話だけとはいえ数人の話し相手(僕と同じ大学生スタッフが担当する数名の受験生)ができました。N/S高ネットコースのような完全在宅型の通信制高校に在籍している方は、多少は心細さが和らぐのではないかと思います。実際僕は和らぎました。模試の感想を話したり、直前期には「あと○○日か…」「やばい…」というふうに焦りの気持ちを共有できるだけでも、独りでいるよりは幾分か心強かったです。

総じて東進に対する満足度は非常に高いです。しかし、あえて難点をいうならば、「毎日登校」が奨励されていて、ほぼ常に昼夜逆転している僕は特に夏休み期間にかなり辛かったというのがあります。*16せっかくのeラーニングなので、「在宅受講コース」でマイペースに学習を進めるのもいいと思います。ただ、校舎の大学生スタッフや校舎長のアドバイスは実際の経験に基づいた貴重なものなので、相当辛いというのでない限り、週に1回は校舎に顔を出すという形で、校舎に所属して勉強していくことをおすすめします。僕は夏以降好成績を出せるようになると、週2回以上の登校は特に求められなくなりました。

志望校の変遷について

通信制転入が決まった高1の冬の時点では、国公立受験を考えており、数学がⅠ・Aのみで受験できる東京都立大学人文社会学部人文学科を志望校としていました。その後、学園都市のカッコよさに惹かれて筑波大学人文・文化学群人文学類、父の出身校ということも(深層心理としては多分)あって東京大学文科Ⅲ類に志望校のレベルを上げていきましたが*17、学力は全く追いついていませんでした。志望するだけなら誰でもできるということです。いずれ現実との折り合いをつける必要が出てきます。ただ、トライ式高等学院で講師に志望変更を勧められたときは、あまりに悔しくて、その場で泣いてしまいました。

僕が高2のときに請求した大学案内です。

模試成績の推移(高2~共テ本番)

高2

第2回4月共通テスト本番レベル模試2021

全国統一高校生テスト6月高2生部門2021

第3回8月共通テスト本番レベル模試2021

共通テスト同日体験受験2022

以上は東進に入塾する前、自主的に受けていた模試です。河合塾の模試も何度か受けましたが、手元に成績は残っていません。駿台の模試は受けませんでした。

高3

第2回4月共通テスト本番レベル模試2022

第1回5月早慶上理・難関国公立大模試2022

全国統一高校生テスト6月全学年統一部門2022

第2回7月早慶上理・難関国公立大模試2022

7月模試では英語で2位を取りました。

第3回8月共通テスト本番レベル模試2022

第3回8月共通テスト本番レベル模試2022 成績推移

8月模試の受験時点での成績推移を見ると、入試科目の範囲学習を終えたことにより、僕の得点が合格者平均点を上回るようになっていることがわかります。

第3回9月早慶上理・難関国公立大模試2022

全国統一高校生テスト11月全学年統一部門2022

第4回11月早慶上理・難関国公立大模試2022

最終12月共通テスト本番レベル模試2022

共通テスト答案再現2023

共通テストリサーチ2023

河合塾の判定

東進の判定

駿台の判定(明治大学文学部史学地理学科地理学専攻)

駿台の判定(法政大学文学部地理学科)

共テ利用の合格可能性判定は、河合塾は甘く、駿台・東進はやや厳しかったです。

入試結果

  • 令和5年度大学入学共通テスト本試験
  • 英語リーディング 89/100
  • 英語リスニング 92/100
  • 国語 165/200(現代文76/100、古文43/50、漢文46/50)
  • 地理B 84/100
  • Σ 430/500
  • 早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修 一般選抜A方式 合格
  • 明治大学文学部史学地理学科地理学専攻 共テ利用・全学部統一 合格
  • 法政大学文学部地理学科 共テ利用・A方式 合格
  • 日本大学文理学部地理学科 共テ利用 合格
  • 駒澤大学文学部地理学科地域環境研究専攻 共テ利用・全学部統一 合格(奨学金採用)
  • 駒澤大学文学部地理学科地域文化研究専攻 共テ利用・全学部統一 合格
  • 専修大学文学部環境地理学科 共テ利用 合格
  • 明治大学文学部史学地理学科地理学専攻 学部別入試 不合格(欠席)
  • 駒澤大学文学部地理学科地域環境研究専攻 T方式 不合格(欠席)

早稲田大学の合否照会画面のみ直撮りの写真を載せておきます。

具体的な学習内容

本項では、僕の具体的な学習内容を説明します。

過去問

過去問は、限られた時間の中で入試対策を行わねばならない受験生にとって最良の学習ツールだと思います。

共通テスト
  • 共通テスト2022本試験・追試験、共通テスト2021本試験・追試験
  • 共通テスト試行調査2018、共通テスト試行調査2017
  • 東進作成の演習問題4回分
  • 東進模試8回分
  • 駿台予想問題集3回分

計21回分解いたことになります。ちなみに、東進は共テ直前期に共テ型演習問題を2回分出してくれましたが、前年度(僕が高2のとき)の模試を流用したもので、役に立ちませんでした。

共通テストの過去問4回分は、共テ模試の前日などのタイミングで何回か解きなおしました。各科目を解く順番ですが、英語リーディングは大問5→6→1→2→3→4、国語は4→3→1→2の順番で解き、地理Bは前から順に解きました。前から順に解かない場合はマークミスに十分気をつけてください。

私大

使用した参考書・問題集

僕が学力をつけたのは東進の授業によるのであって、参考書・問題集はあくまで補助的にしか使いませんでした。英単語帳は新しく買ったのをそれぞれ1周だけしてサボっていましたし、古文単語帳・地理B一問一答は1周すらしませんでした。

英語
  • 『DUO 3.0』僕が通っていた中高で採用されていました。入試基礎レベルの単語・熟語・文法・語法が例文一つひとつに凝縮された優れものです。
  • 『鉄壁』鉄緑会の単語帳ですが、掲載されている単語のレベルは基礎~やや難まで幅があると思います。早慶上位学部で問われるほどの語彙は載っていないと思います。ハイレベルな語彙を吸収しつつ基本単語の復習もできます。
  • 『Vintage』英文法・語法の問題集です。『ネクステージ』などとの互換性が高いので、書店で見比べてレイアウトが気に入ったのを選ぶといいと思います。僕は高2のうちに何周かして、文法・語法の知識の穴埋めをしました。アクセントや会話表現の問題も載っていますが、受験校の過去問との相談になると思います。僕は早稲田大学教育学部でアクセント・会話表現、駒澤大学でアクセントが出ていたので、申し訳程度に1周しておきました。
  • 『早稲田の英語』「赤本」の教学社から出ている「難関校過去問シリーズ」です。夏ごろから使っていくといいと思います。直接書き込まずに何周かしてみるのもいいでしょう。
  • 『明治大の英語』
  • 『The Rules』英語長文問題集です。僕は関正生ファンでした。
  • 『英語長文ポラリス
国語
  • 『重要古文単語315四訂版』最もオーソドックスな古文単語帳だと思います。巻末付録の文学史・古典常識も活用するといいと思います。僕は単純暗記が苦手で、古文の文中の単語は文脈の中でなんとなく意味が取れてしまうので、周回はしませんでした。受験校の古文に現代語訳が出る人は必携だと思います。
  • 『早稲田の国語』
  • 『明治大の国語』
  • 『入試精選問題集 漢文-四訂版-』漢文の問題集です。早稲田大学文系学部やGMARCHの文学部を受ける方は漢文が必要になると思うので、範囲学習を終えたあとに、肌感覚を忘れないよう最低限の演習を続けるといいと思います。
  • 『マーク式基礎問題集 漢文 -五訂版-』上の問題集と同じような使い方でいいと思いますが、マーク式なので、共テ直前期におすすめです。河合出版は古文の問題集も充実しているので、余力のある人は取り組むといいと思います。
地理
  • 『地理B 一問一答【完全版】2nd edition』地理B一問一答の中では網羅性が一番高いようです。単純暗記にはあまり意味はないと思います。民族文化などの単元は語句を覚えてしまえば終わりですが、農業・鉱工業の統計などは実際の統計表の中から着眼点を見つけ出せるようになるのが重要なのであって、1項目ごとに完結してしまう一問一答での暗記が役に立つのかは甚だ疑問です。時間がある人はやってもいいかもしれません。僕は「白地図Q&A」を活用しました。
  • 『地理用語集 A・B共用 第2版』地理Bの用語集です。過去問を解いていて知らない用語に出会ったときは用語集で調べる癖をつけましょう。用語集自体を暗記するのは無理があると思いますが、活字が好きな方はちょっとした時間で読んでみるのもいいかもしれません。
  • 『地理の研究』地理選択の私大受験生は必携だと思います。高校地理のほぼ全範囲が網羅されている資料集です。私大地理の過去問で出てくる重箱の隅をつつくような問題の答えも、この資料集の隅っこに書いてあったりします。EUの形成史についての記述はそのまま覚えてしまうといいでしょう。
  • 『新詳高等地図』帝国書院の地図帳です。他に何種類かあると思いますが、この地図帳が最もスタンダードなので、よほどの理由がない限り他社の地図帳ではなくこれを使うといいと思います。知らない地名に出会ったら地図帳で調べる癖をつけてほしいです。僕はできませんでした。
  • 自作の白地図帳 高3の10月下旬のころ、地理Bの学習がスランプに陥ったときに、白地図を使おうと思い立って自作した白地図帳です。あまり役に立ちませんでした。早いうちから作って色々書き込んでおくと、直前期~入試当日に活躍してくれるかもしれません。A4のプリントが貼れるノート

    A4ワイドカレッジ ブルー | 日本ノート株式会社

    に、市販の中学受験用の白地図

    新版 白地図・自由帳 世界州別 | 新版 白地図自由帳シリーズ | | みくに出版 Web ShopとネットからDLできるフリーの白地図

    白地図専門店 | 日本最大級の白地図サイトを貼りました。市販の白地図のほうは縮小コピーする必要がありました。

通信制高校から大学進学を目指す人へ、僕からできるアドバイス

学習面

環境に妥協しない

塾・予備校などの学習環境に妥協しないでほしいです。僕は高2の4月から、常に自分が最適な環境で学習できているか意識して、最終的に東進に辿り着き、学力を伸ばすことができました。東進に来るまでのどこかの時点で慢心していたら、少なくとも早稲田の合格は無かったと思います。

塾・予備校選びについては、僕が東進に通って現役合格したのはあくまで一例に過ぎないので、皆さん自身のニーズについて考えてほしいです。僕にはたまたま東進が最適だっただけで、皆さんそれぞれのニーズがあると思います。僕が東進を選んだのには、

  • 入試本番まで1年を切っていたため、週1回の対面授業の塾・予備校では国語と地理Bの範囲学習が間に合わず、映像授業が必要だった
  • 自己管理が必要なスタディサプリ等よりも、日々の学習から受験校選定までサポートが充実しているように思われる東進のほうがよかった

という2つの理由があります。例えば、入試科目の範囲学習を終えた状態で通信制に転入した方は、必ずしも映像授業に頼る必要はないと思うので、河合塾駿台で自習室を使い込んだり、市販の問題集でマイペースに演習を積んだりすることができると思います。

また、自分の勉強方法を改善することも意識してほしいです。一日の中での時間配分は、Studyplusなどで学習時間を測ることにより可視化できますので、例えば、単語帳に毎日2時間もかけていたら学習計画を立て直して1時間以内に収めるというような、日々の学習とそれに対するフィードバックの繰り返しで、学習のペースを最適化できると思います。週に1、2回はチェックするようにしてほしいです。特に、N/S高ネットコースのような完全在宅型の通信制高校では、自分の勉強方法にツッコミを入れてくれる人=指導者がいないので、間違ったやり方で半年をドブに捨ててしまうというようなことも起こりえます。気をつけてください。

抽象的な話

完璧主義を捨てる(Abandon the past, let's 自宅警備

僕は有料自習室を借りて毎日通える場所を確保することで、全日制高校の生活に自分の生活スタイルを近似させようとしていました。これはお金の無駄でした。昼夜逆転が治らない方は、メンタルクリニックの受診なども検討してほしいですが*21、どうしても治らない場合はもう諦めて、起きている間にできる勉強をするのがいいと思います。

N/S高ネットコースの方は、ぜひ普通科VRを利用してみてほしいです。僕は2年間、Twitterを毎日4時間ほど見て過ごしたのですが、VRChatなどでより密度の高いコミュニケーションを取っていれば、SNSに使う時間を減らして勉強時間を増やせたと思います。「自宅警備ライフを満喫してやる」ぐらいの心持ちで、どっしりと構えてほしいです。

共テ直前期のスクリーンタイムです。受験生としてありえないと思います。

本当に行きたい大学へ

僕はTVアニメ「恋する小惑星」に影響を受けて地理学科を目指しましたが、僕のように「適当な」理由で進路を決めてしまうのもアリだと思います。なにも自分の人生にかこつける必要はないと思います。もちろん、将来の夢・目標がすでに定まっている方は、その実現に役立つ専攻に進むのが望ましいと思います。

今一度、大学で学んでいる自分の姿を想像し、その後のキャリアについても考えてみて、自分が本当に行きたい、そこで学びたいと思う大学を志望校に選んでほしいと思います。頑張ってください。

どうしてこうなった?

青春コンプレックス

青春コンプレックスがデカすぎます。

癒えない傷

僕は中学入学以来、同い年の女子と一度も会話せずに6年間を過ごしてきました。しかも高2から通信制高校に在籍したため、高校生活の思い出が、レトリックでなく本当に一つもありません。この傷が癒えることはないでしょう。

母の教育方針、父の放任主義

僕は、通信制転入に至ったのは僕自身の怠慢や生活リズムに原因があると考えていますが、あえて両親に原因を求めると、母の教育方針と、父の放任主義に問題があったのではないかと思います。とはいえ、父はこの2年間、僕をフルサポートしてくれましたので、悪く言うつもりはまったくありません。むしろ感謝しています。ただ、僕の部屋がゴミ屋敷になっていたとき、父が何度か立ち入ったことがあるのですが*22、そのときに僕を一喝して生活態度を改めさせてくれていれば、あるいは、僕の定期試験の成績を見て*23、その遠因であるところの昼夜逆転を治すため病院に連れて行ってくれていれば、僕はS高に転入せずに済んだかもしれません。父にはもう少し僕に干渉してほしかったと思います。

高1の3学期末に受け取った通知表です。

握りつぶされた受診勧告

僕が中3のとき、母が担任との面談で、起立性調節障害の疑いで受診を勧められたそうです。母は僕をメンタルクリニックに連れて行くことはしませんでしたし、そういう話があったことを聞かされたのはS高に転入した後のことでした。母は、僕がドロップアウトすることになった原因は僕の体力に見合わない長距離通学*24だったと考えているようです。勝手な判断で受診の話を握りつぶされたのには今でも納得できません。

高1の修了式の日に撮ったクラスの集合写真に写っている僕です。通信制行きが決まっていた僕ともう一人が最前列になりました。

S高在籍中の実績

  • 英検2級

  • 第17回科学地理オリンピック日本選手権 第1次選抜通過

  • 第15回日本地学オリンピック 一次予選敗退

 

 

 

以上が僕の2年間の総括です。お読みいただきありがとうございました。通信制高校から大学進学を目指す方のご参考になれば幸いです。

以下は脚注です。

*1:英語の模試成績が振るわない時期がありましたが、これは共テ形式の問題演習を積んでいないことが原因だったと思います。成績が良くなるまでは基礎が足りないと思い、やる必要のなかった英文解釈の参考書を買い込んだり、シス単と鉄壁を行ったり来たりしていました

*2:因果関係が逆かもしれませんが、鶏が先か、卵が先か みたいな話になってしまうのでご容赦ください

*3:「北緯40度線が通る都市」はド定番です。秋田、ペキン、バクー、アンカラ、タラント、マドリード は覚えてしまいましょう

*4:近年、記述解答よりもマーク解答のほうが多くなってきているため、選択肢を根気よく絞り込んでいけばある程度の得点が見込めるというのもあります。系統地理的な出題も増えています

*5:e.g. 2万5千分の1地形図は実測図で計曲線は50mごと、5万分の1地形図はそれらを組み合わせた編集図で計曲線は100mごと、自然災害伝承碑などの地図記号、地理情報システムGIS全球測位衛星システムGNSSアメリカのGNSSGPS

*6:攻撃斜面・滑走斜面といった用語も拾っておくといいでしょう。室戸岬(海岸段丘)や大室山(スコリア丘)など、日本の有名な地形について予備知識として知っていると、もしかしたら入試本番で出るかもしれません。「日本の地形千景」というサイトがおすすめです

*7:塊村、路村、列村、街村、円村、九十九里浜の浜堤上に立地する納屋集落 etc.

*8:屯田兵村、cf. タウンシップ制

*9:私大地理ではEUの形成史についてやや細かい知識が問われることがあると思います。『地理の研究』に載っている事項を覚えてしまうと安心です。語句レベルではECSC、EEC、EURATOM、対抗馬としてのEFTAなど。EU各機関の所在地(都市)もできれば押さえておきたいです。年号暗記もするなら、EC・EU19XX年にどの国とどの国が加盟、など…

*10:1,000円ちょっとで買えて手が出しやすかったので

*11:サポート校とは、基本的に高卒資格をくれるだけのディプロマ・ミル的な通信制高校に代わり、進学指導や各種専門教育の役割を担う組織で、学校ではありません。ここらへんは通信制入学を検討している方なら調べていることかと思います。なお、僕が在籍したN/S高等学校の進路指導は充実していますのでご安心ください。調査書や卒業証明書の発行も遅滞なく行っていただけます。難点は見当たりません

*12:デジハリ合格が壁に貼り出されていました

*13:地理B選択の理由は、世界史B・日本史Bの年号暗記などが嫌でたまらなかったこと、系統地理の自然地理分野でプレートテクトニクスなど地学っぽい勉強ができること の2つがあります

*14:僕は高速基礎マスターを取らずに済みました

*15:地域の、東進が無くても受かるような進学校の生徒が所属していたりして、受験終了後そのまま東進でバイトを始めているようです。大学生スタッフの中に1人、僕の通っていた中高出身の一橋大学生がいました

*16:夏休み期間は朝8時から始まる各時限に受講予約を入れる必要があり、午後起床がデフォルトになっていた僕は絶起を繰り返したので、校舎からLINEや電話を何通も受けました

*17:父は理科Ⅱ類でした

*18:直前期に記録を残さずに解いたのが1、2年分あると思いますので、実際には10年分解いていると思います

*19:3年分だったかもしれません

*20:共テ前、12月頃に2020年のを解いて、直前に2022年のを解きました

*21:僕は一度受診しましたが、「毎朝親に起こしてもらえば自然に治る」と言われて帰されてしまいました

*22:僕の部屋はもともと物置になっていて、両親の本が入った本棚が置かれていました。父は暇潰しに読む本を探しに数ヶ月に一回僕の部屋に来ました

*23:僕は学年最下位でした

*24:僕は1時間半かけて通学していました